人狼戦記

人狼Online(https://zinro.net/ )の第7世代プレイヤーです。

感想戦考

感想戦について考える

実は、今書いている全ての記事は、俺の人狼ゲーム観をボトムアップのベクトルで記述しているのだが、この感想戦考もその一つの欠片であることに気付いた。 そこで、現時点での感想戦についての結論を考えてみたくなったので、今回は感想戦を取り上げて考えてみたいと思う。

  • 舌鋒鋭くヒヨワなRM
    とある有名プレイヤーさん*6の村。狼の見破り方など聞かせる説明ができるので、いつも感想戦では舌鋒鋭く、時に暴言も交えて失敗したプレイヤーを吊し上げ。いつものフレーズは『他人の意見を聞かないと強くなれないよ!』。 そんなある日のゲームでRMさん自身が指定役。こちらが思考ロックにかかっていることを指摘するも、意見が異なるプレイヤーから吊り指定。もちろん負け。感想戦で同じ様に指摘すると『お前に意見など求めてないッ!』と仰る。マジ卍!
    『僕はイヤだッ!』
村建てのススメ その2 - 人狼戦記

引用は昨日の記事、これは笑ってもらおうと思って書いたネタなのだが、なぜこれがネタになりえるのかを考えてみたい。感想戦とはどんなものかを考えるのにちょうどいいと思う。

 

(今回は、ちょっと重めの内容です。時間ない方は時間のある時にでも。)

 

人狼ゲームにおける感想戦を定義する

感想戦の原義から考える

そもそも、感想戦とは何だろうか?Wikipediaで調べると次のように書いてある。

 感想戦(かんそうせん)とは、囲碁、将棋、チェス、麻雀などのゲームにおいて、対局後に開始から終局まで、またはその一部を再現し、対局中の着手の善悪や、その局面における最善手などを検討することである。なお、「感想戦」は本来将棋用語であり、囲碁では通常「局後の検討」という言葉が使用されることが多い(NHK杯の司会者もそのような言い方をしている)。

感想戦 - Wikipedia

将棋の感想戦を見たことがある人は分かると思うのだけど、基本的に感想戦は敗者から勝者に声を掛けることで始まる。もし、声が掛からなければ、勝者は声が掛かるまでひたすら待つ。そして、敗者は自らが考える勝敗の分岐となった局面を提示し、負けずに済む選択を勝者に問い、勝者はそれに答えるという体裁が取られている。もし、勝者がその分岐であるとされた時点をズレてると考えるなら、時点を遡ったり、時点を進めたりして、検討を深めていく。パラレルワールドになっているIFの世界から、負けた側が勝つことができうる道筋を明らかにする。それが感想戦だ。

つまり、勝った側が負けた側を詰る時間ではない。ありがちな負けた側が同じ陣営内で責任転嫁をする時間でもない。大事なのはそこではない。

 

検討したい事項を探る

言うまでもないことだが、人狼ゲームは将棋や囲碁と異なり団体戦だ。*1まず、同一チーム内で負け筋に入った局面を考える。つまり、再現しようとするなら棋士が頭の中で行っている作業を、まず同一チーム内で行う必要がある。かつ、その考察が声の大きな人に引っ張られてはいけない。

 

(共通事項)

  • ランダム要素*2の確認(欠け位置や猫噛みがあった場合の道連れプレイヤー)

 

(村陣営での検討事項)

  • 初形が明らかになった二日目の進行選択が妥当であったか
  • 吊り先の選択方法と選択が妥当であったか
  • 各プレイヤーの行動*3は妥当であったか
  • 特定のプレイヤーしか発言あるいは行動することができないもので、村陣営を有利に導く手法があるかどうか、あったとした場合のその後の展望
  • 指定役が行った選択の是非、誤った選択をしていた場合、その誤った原因、指定された側が取りうることができた発言と行動
  • 前項において、同陣営のプレイヤーがサポートできうる手段

 

(狼陣営での検討事項)

  • 初形の選択と人員の配置は適切だったか
  • 二日目に決定された進行選択が想定や実戦と異なった場合の陣営の強度
  • 二日目吊り先が狼陣営だった時の陣営の強度
  • 特定のプレイヤーしか発言あるいは行動することができないもので、村陣営を有利に導く発言があるかどうか、あったとした場合のその後の展望
  • 指定役に指定された場合、その指定役が指定しようと思った原因となる発言や行動を行わず代わりに取るべきであった発言や行動
  • 前項において、同陣営のプレイヤーがサポートできうる手段
  • 狼陣営が自ら身内を切る選択をした場合、時点や人員選択の妥当性
  • 噛みの選択の妥当性と異なる噛み位置だった場合の展望

 

ざっと思いつくだけでこれだけある。思いつきだけで書いているので、本当はもっとあるだろう。

だが、時間は有限だから全てについて検討できることはないので、感想戦では勝者も敗者も各人が重要だと思うところを発言することになる。重要なのは、勝つために取りえた選択や行動の指摘ではなく、その選択肢を取りえなかった原因だ。単に勘違いということもある。そして、その勘違いはランダム要素だ。俺は陣営内の経験が浅い人の考察や行動もランダム要素になりがちだと考える。また、勘違いが生じているなら、勘違いが生じにくい方法がなかったか考えてみるものいいかもしれない。

 

 

まとめ、ではない。むしろ、始まりなのだ

まともな感想戦をしようとするなら、各プレイヤーの言動に原因(根拠や意味)がないといけない。原因と結果が結びつくものは改善することができるものもあるだろう。そのパターンにはまるものがあれば、次戦に生かされるかもしれない。それが原義に即した感想戦のあり方だろうと思う。部分的にできている場合もあるだろうし、そうでない場合もあるだろう。

 

と、ここで、これだけの文字と時間を費やして、全てをぶち壊す質問を投げかけたい。

  • あなたは、参加する全てのゲームで濃密な感想戦をしたいと思いますか?
  • 参加メンバー全員が、感想戦をゲーム以上の情熱をもって行えますか?
  • 参加メンバー全員が、感想戦を行えるほどの習熟度に達していますか?

実は、これが結論だ。感想戦が行えるゲームと参加者を揃えているケースは、ほぼありえない。確かに振り返ることで習熟度は増すし状況の再現性自体はあるのだから、単純に考えれば強くなりそうなものなのだが、その状況に対する対応をどう捉えるかは受け手の問題が生じる。

先に述べたことだが、棋士ならば人狼ゲームで言うところのそれぞれの陣営をそれぞれ一人の人間の中に既に統合しているが、人狼ゲームは団体戦であり、かつ、それぞれの習熟度が異なっていて、その参加メンバーは一定していない。 さらに、村陣営は自陣営のメンバーを正確に把握していないし、狼陣営は狂人が誰かは不明であることは所与の条件であることは言うまでもない。加えて、狼陣営は村陣営の、一人の人間の中に統合されていれば顕わにならない脳内会話を全て見ることができ、村陣営は狼陣営の会話を部分的にしか知ることができないことをも留意すべきだ。そして、もし、その統合が可能ならば、そもそもこのゲームは成立しないのではないだろうか。

 

その結論に立って、この記事の最初のネタを読んでみるともう一度笑えるかもしれない。

*1:案外、これが分かってない初心者の人も多いのだが、ベテランさんの中でさえこの意味を十分に理解できてない人が多いと思ってる

*2:将棋や囲碁には存在しない要素であることは指摘しておく

*3:ムーブという言い方は嫌いだ。位置は位置と言うのに行動はムーブってなに?しかも、ムーヴとか言う人さえいるでしょう?イラっとこないの?皆さんは