人狼戦記

人狼Online(https://zinro.net/ )の第7世代プレイヤーです。

海の日配役着想記(RCO文化と進行論)

昨日は、海の日配役着想記(白ランオンと10a狩)と題して、10人配役にした理由と白ランオンを採用した理由について書いた。今日は、RCO文化と進行論。海の日配役はこのRCO文化と今までに出来上がった進行論からの逸脱を狙いのひとつにしている*1。その辺のところを書いていきたい。昨日も書いたことだが、配役の背景の事だから村側と人狼側の対立軸で考えがちだが、さらに重要な軸は初心者と経験者の対立軸、荒らし対策の視点だ。

 

RCO文化の功罪

俺がRCO文化と呼んでいるものは何かというと、人狼onlineにおける多くの配役で開始直後一定時間内に占い師と霊能者がCOを行い、盤面を固定する村側の戦術とその制度化の事だ。このやり方*2は村側に以下のようなメリットをもたらす。

  • どこに人外がいるかを部分的に明らかにでき、欠け位置が分かる。
  • 開始直後に盤面を固定でき、人狼側が後からその役を騙ることを排除できる。
  • 狼側に相談する間を与えず狼側の作戦を催促することができる。
  • 村側が話し合うことができる昼の時間を最大限使える

このRCO文化を支えるのに重要な役割を果たしているのが村騙りの禁止と遅延COの禁止だ。定番配役ではほとんどの場合ルールとして禁止している。

それはなぜか?

おそらく、上記のRCOのメリットを失わせてしまうからだろう。村騙りと遅延COを許してしまうと盤面が固定できないばかりか、村陣営の者が村を混乱させて村に無駄な縄を使わせることになりかねない。また、遅延COを許すことになるなら盤面が固定しない上に狼にも遅延COを許すことになり乗っ取りが起きるケースだって生じるだろう。

つまり、狼側にとっての利益を予めルールで縛っている。RCO文化(RCO+村騙りの禁止+遅延COの禁止)はルールとして村有利に機能している。

また、このRCO文化で副作用として生まれるのが、初心者を排除する参加者精査の必要性と廃村の増加であり、また、荒らしの手段を与えてしまっていることにある。初心者はRCOなんか知らないから悪気なく遅延する。ベテランプレイヤーでも生理的な事象*3で遅延してしまうこともある。その場合何が起きるかというと廃村だ。RMさんの負担は増えるばかりで、ゲーム開始までにプレイ時間以上の時間を費やしてしまうこともザラだ。また、荒らしも廃村させやすい。

常々、RCO文化に基づかない配役は必要なのではないかと思っていた。

 

進行論の功罪

進行論はベテランプレイヤーが大好きな話題のひとつだ。3-1黒で占ロラが先か黒吊が先か、2-2で霊ロラ以外の進行はないか、などの話を延々やっている。進行論はいわば定跡*4で、進行論を知ればプレイヤーはある程度のところまではすぐにプレイスキルが上がる。進行論を知ることが人狼ゲームで強くなる条件のひとつだ、というのは大まかには異論はない。

だが、これにも影が存在する。

初心者のような進行論を知らない者は、まともなプレイヤーのいる村には参加させてもらえない。RCO文化に支えられた無菌室に雑菌が紛れ込むからだ。このことでいつものメンバーでしかゲームができないことになる*5。また、無菌室育ちの似たようなプレイヤーばかりが出てくることにもなる*6。また、プレイヤー同士の諍いは進行論の相違で起こることも多い。しかも、参加しているプレイヤーとプレイヤーですらない観戦者とのマウントの取り合い。ひどい時は同村拒否や除け者になることもザラである。また、ゲームが終わってずいぶん時間がたった後でも、あいつは進行理解が薄いだの、君は進行論をもっと勉強しなよだの、火種になることばかり。

ただのゲームでだ*7

ゲームなのだからどちらかのミスがないと勝敗つかないが、RCO文化と進行論はミスを減らす働きがあることから、勘違いでミスった、を許さない*8。進行論を盾に罵倒が起こり進行論で諍いが起きる。

進行論が確立しにくいことで初心者にも優しく、出会い頭の咄嗟の把握と判断が要求される配役があってもいいのではないか、と思い至った*9

 

海の日配役に狩がいない理由、猫がいる理由、役欠けなしの理由

海の日配役では狩を排除した。RCO文化を支えてるひとつは狩の存在だ。なぜなら、RCOを可能にするのは役職者が噛まれない可能性を作り出せるからだ。狩がいない時の占い師を想像してもらえるといい。占い師は、初日占い結果(白ランオンだから白の結果しかない)を抱いたまま吊られるリスク、夜に噛まれるリスクを抱えて二日目の朝を迎える。これでどう動くか選択を迫られることになる。RCOしない理由を作り出せる

RCOしない理由は狼側に突くべき隙を与える。あとから、「噛まれるのが恐くて」とか「黒見つけてからCOしようと思っていて」と言えば、まぁ筋は通る。また、RCOが必須でないことから、同じ役職に人外陣営が同時にCOするようなバッティングも減らすことができる。また、バッティングしたとしても3日目以降だと一気に大量の占日記が提出されてそれを読み解くのに時間がかかる。

狼側に利しかないじゃないか!との異論は正しい。これを埋め合わせるのに猫を代わりに入れた*10。参加者全員が真偽を確認できることで進行役になれる猫。また、吊られれば狼陣営にも被害がある可能性があり、噛まれれば狼を減らす*11ことができ、猫ルーレットは基本的に村利だ。併せて、役欠けもなしにした。役が欠けると役職者の不在も含めて読まなければいけないが、その読みは免除することになる*12。これは村利に働く。さらには、詳細は次回に譲るが、村騙りも現在は禁止している、身内噛みも同様にだ。

これでバランスはとれると考えた。

村は昼の時間、進行論が確立している世界に比べたら少なすぎる情報の中で、自分以外の参加者全員に疑いの目を向けながらゲームは進んでいく。情報がないから村側の良かれと思って行動したことが不用意な発言や行動と受け取られてしまう。狼側はそれを突く。無駄縄と時間の浪費は狼利だ。

人狼ゲームとは元々こういうゲームだったのではないか?

長々と書いたが、やっと海の日配役の話を出したところで今日のところは大団円。次は村騙りと突然死の話をしようとかなと思う。

*1:そりゃベテランプレイヤーさんには嫌われる配役になるわなぁ。

*2:対面人狼人狼onlineしかほとんどやらないので記憶が定かじゃないが他のアプリだと時間を決めて一斉COがセオリーのところもあった気がする。

*3:くしゃみかなぁ、実体験だと。

*4:将棋の方が好きなので定跡を使いますよ、っと。

*5:Overspecialize, and you breed in weakness. It's slow death.

*6:サイトー on Twitter: "それぞれのプレイヤーがそれぞれにグレスケを持っていて、それが必ずしも一致しないところがゲーム性ある部分だと思う。 一時期、点呼前質問でその部分を聞いた質問をしているRMさんがいて、これメタを育成してるな、と思った記憶がある。 #人狼tips" / Twitter

*7:羽生善治は将棋をただのゲームと言い切ったことがあったが、決して将棋を軽んじてる発言でないことは誰もが知るところである。

*8:サイトー on Twitter: "見方の違いや勘違いにゲーム性があるのにそこを統合していって均一の集団にしていこうって感じなのかな。気持ち悪すぎる。" / Twitter

*9:念のために書いておくが、今の定番配役を否定してるわけではない。ただ、その欠点を補える変わり種の配役があってもいいのではないかという提案だ。

*10:俺が狼有利になり過ぎたと反省して役人に変えた時期があることは秘密だ。

*11:狼は2しかいないから減るのは痛手であるが狼が猫を騙るのが必ずしも最善手であるとは言い切れない。

*12:だが、誰が役職者であったのかを考察することが必要になる場合もある。